コロナウイルスの予防

コロナウイルスは、もともと他のいくつかのウイルスと同じように、いわゆる風邪を引き起こす一般的なウイルスの1つである。

 

これまではコロナウイルスについて、微生物学感染症学などの教科書でも、とりわけ重要視されて扱われることはなかったように思うが、今回の流行において、感染力が強く世界的に広まったことから、一躍有名となった。

 

ウイルスは細菌とは違い「細胞」を持たないため自分だけでは増えることができず、ヒトの喉や肺などの細胞に侵入して、その中で増殖し、他の細胞に移り、また増えることを繰り返す。

 

ウイルスがわたしたちの体の細胞に侵襲しないようにすることが「予防する」ということになるが、ウイルスは会話や咳をするだけで大量に飛び散って浮遊するし、とても小さいのでなかなかウイルスに触れないようにすることはむずかしい。

 

予防としてできることは、

① マスクをすること

② 手洗い・うがいをすること

③ 三密を避けること

が誰にでもできる基本的な方法である

 

マスクについては、もちろんマスク自体のフィルター機能が、ウイルスのような小さい病原体を防ぐことができるものではない。

一般的な市販のマスクの繊維が、繊維の隙間よりもかなり小さいウイルスを弾き返しているわけではないことは注意したい。仮に弾き返せたとしても、マスクと顔の間にもっと大きい隙間が空いているわけだから、そこからウイルスはいくらでも侵入できることになる。

マスクをする理由は大きな飛沫(唾液の粒)が、自分から他人に飛んでいくことを主に防ぐことである。もちろんマスクと顔の隙間から出ていく分もあるし、咳などをすれば周りに飛沫は拡散する。

ただ、集団でみんながマスクをすることで飛沫を介したウイルスの伝播をふせぐことができると期待できる。こうした理由でマスクの着用が推奨をされているのである。

 

手洗いはごく一般的な感染予防策である。ウイルスは細胞を持たないので、ハンドソープのような界面活性剤をつけてウイルスを殺すというよりは、大量の流水でウイルスを洗い落とすことを目的とする。

うがいも同じようにウイルスを水で洗って吐き出し外に出すことが目的だが、うがいで口に含む水自体は、のどの奥の方やもちろん気管の方には届いていない(=届いていたら肺の方に水が落ちていってむせこむことになる)ので、表面的な浅い部分を洗っているにすぎないため、予防効果としては限定的である。

手洗い・うがいはコロナウイルス に限らず一般的な感染予防策であり(うがいについては明確に効果があるかははっきりわからないが)、流行している今は特に意識して行うべきと考えられる。

 

③  

これが最も重要なことと思う。

①と②は既に近くにあるかもしれないウイルスの感染を避ける方法であったが、③はウイルスから距離をとり物理的に避けるという方法であるためである。

密集・・・集団の中に感染者がいるリスクが上がるし、飛散する飛沫も増える

密接・・・当然物理的距離が近くなり、飛沫に直接暴露するリスクが上がる

密閉・・・ウイルスが長時間近くに止まり吸い込むリスクが上がる

ウイルスには感染しているが症状がない人も多くいるわけなので、いつどこから感染が生ずるか予測することはむずかしい。

しかし、実際に電車通勤、学校、職場などで人との近い距離での接触を完全に避けることは社会生活上困難といえる。

つまり一定の感染リスク(例えば東京などでは診断されているのが数万人に1人程度であるから、その数倍〜数十倍)は避けられないと考えて、①〜③の予防を「長期的に」「心がける」ことが大事といえる。